【金属やヘテロ元素の反応特性を明らかにし、これらを利用した新しい有機反応の開発を行っている。】
遷移金属アート型反応剤の還元能を利用する有機金属反応剤の生成反応の開発
銅、マンガンおよびクロムのアート型反応剤が求電子剤に対して還元反応のみを起こすことを初めて明らかにした。非常に効率よく進行することから、この過程を遷移金属アート型反応剤による"還元的な直接メタル化反応"と捉えた研究を行っている。
遷移金属アート型反応剤の反応性を反映した触媒反応
遷移金属のアート型活性種は、遷移金属を触媒とする反応系でも発生が期待できる。アルキン類の炭素-リチウム化が鉄塩触媒により穏和な条件下に効率よく進行することを見つけている。非常に穏和な反応条件、位置および立体選択的に反応が進行する。この様な遷移金属触媒反応の開発を行っている。
不飽和結合の2電子還元によるvic-ジアニオンの生成反応
シリル基が置換した1,3-ジイン類に対してlithium 4,4'-di-t-butylbiphenylide (LDBB)を作用させるとシリル基が置換していない側の炭素-炭素3重結合が位置選択的に2電子還元を受け、cis-体の共役1,3-エンイン類が高収率で得られることを見つけている。これら高反応性のvic-ジアニオンの反応性に基づく選択的反応の開発を行っている。