口腔ケアが難しい患者の口腔内環境の悪化を予防するため、フッ化ナトリウム(NaF)を用いた口腔内パッチ製剤を調製し、Streptococcus mutans 8148株(St. mutans)増殖に対する油相の影響、パッチ製剤内外に添加したNaFのSt. mutans増殖抑制効果、及びNaF放出制御に及ぼすゲル化剤HSA(12-ヒドロキシステアリン酸)の影響を検討した。その結果、HSA0.05 g/mL添加製剤により調製したパッチ製剤で高濃度のフッ化物イオンの放出と持続的なSt. mutans増殖抑制効果を示した。その要因として、HSA0.05 g/mLはHSA0.3 g/mLに比べてSt. mutansの増殖期において添加直後から効果的なフッ化物イオン濃度を放出することでSt. mutansの初期増殖を抑制したことによることが示唆された。