山陽小野田市立山口東京理科大学薬学部では小型カメラ、ディスプレイやタッチパネルを搭載したスマートグラス(SG)を導入し、事前実習での技術の習得・向上を図っている。今回、指導教員がSGを装着して注射剤調製の基本操作に関する指導を行い、従来型の実習との比較により有用性を評価した。従来の実習書+でスライド説明群では「アンプルのカット部分を消毒用エタノール綿で拭く」の項目を除く9項目でスライド説明後の理解度が高かったが、アンプルカットやアンプルからの薬液採取で0.5以上の理解度が増したのは2項目のみであった。一方、実習書+SG群は4項目で0.5以上の理解度が増しており、「薬液採取後の液量の調節」など連続操作に関する評価でSGの有用性が示唆された。また、SGによる説明で役に立った点や改善が必要な点についての記述式アンケート調査を実施した結果、役に立ったと感じた内容では「できる-見る」、「できる-操作」、「先生-見る」などの出現パターンが上位であった。一方、改善が必要な点では、「先生-画面」、「手元-見える」、「先生-動く」などの出現パターンが上位であり、SGを使用することで手元が見やすくなるものの、指導教員の視線のぶれや移動によって映像が見えにくくなることが判明した。