本稿は、明治2~3年山口藩において発生した諸隊脱退騒動に関して、藩政府が断行した「精選」に反対し脱退騒動に参加したものの、藩政府と徹底対決することなく斬罪された佐々木祥一郎という陪臣について考察する。陪臣出身脱退隊士の動向という視点から同事件を分析し、不平士族の乱や農民一揆とも異なる脱退騒動の特性を明らかにすることを目的とする。