1. 緒言
本研究室ではTabebuia avellanedae (Tabebuia)の内部樹皮抽出試料中に, MCF-7細胞のスフェロイド形成を促進する物質が存在することを見出した. このスフェロイドはがん幹細胞様細胞を多く含むことから, この物質はがん幹細胞様細胞の増殖を促進する可能性が示唆される. このスフェロイド形成促進物質の作用機構を解明することは, がん幹細胞の増殖機構を解明する上で重要であると考えられる. 本研究では, Tabebuia抽出試料を精製し, MCF-7細胞のspheroid-formation assay (SFA)を行い各分画試料に含まれるスフェロイド形成促進活性およびこの物質を添加した細胞の幹細胞性を解析した.
2. 実験
エタノール抽出試料5.04 gを溶解し, ワコーシル40C18担体の懸濁液に吸着後, 20%エタノールと0.1%TFAを含む水溶液で抽出し濃縮した. この溶液を逆相クロマトグラフィーに添加し, 10%, 30%, 80%エタノール(各0.1%TFA含有)水溶液で試料を溶出した. 得られた各分画について, MCF-7細胞を用いたSFAによりスフェロイド形成活性を測定した. SFAで用いた細胞よりcDNAを調製し, 定量的PCR(qPCR)で幹細胞マーカー遺伝子であるNANOG, POU5F1遺伝子の発現量を調べた.
3. 結果および考察
分画No.13で1.4倍、No.16で1.4倍、No.26で5.0倍となり、スフェロイド形成促進活性が認められた。特に強い活性を示した分画No.26について、MCF-7細胞における幹細胞マーカー遺伝子発現への影響を解析した結果、NANOGは53倍、POU5F1は28倍に増加した。これらの結果から、これらの分画には細胞の幹細胞性を高める物質が含まれている可能性が示唆された。