学会発表

基本情報

氏名 小野田 淳人
氏名(カナ) オノダ アツト
氏名(英語) ONODA Atsuto
所属 山陽小野田市立山口東京理科大学薬学部薬学科
職名 講師
researchmap研究者コード
researchmap機関

発表題目

Setd5ヘテロ欠損と炭素ナノ粒子妊娠期曝露の重複は自閉スペクトラム症のリスクを相乗的に上昇させる

代表発表者名

小野田 淳人

共同発表者名

福 梨紗, 中川 直, 立花 研, 武田 健

学会・会議名

日本毒性学会学術年会

発表形態

その他

発表開始年月

2024/07

発表終了年月

2024/07

概要

ヒトを対象とした疫学研究により、大気環境中に浮遊する微小粒子の妊娠期曝露が、児の自閉症 (ASD) の発症率を上昇させることが報告されている。そのため、微小粒子が脳発達に影響を及ぼす機序について、組織形態・分子細胞レベルで明らかにすることが求められている。しかし、実験動物を用いて、微小粒子曝露に由来するASD様症状を再現することは困難で、その発症は稀である。元来ASDの発症には、環境要因のみならず遺伝的素因も関わる。遺伝的に均質な実験動物と異なり、ヒトの場合はASD発症のリスクが高い遺伝子多型をもつ集団が存在する。そこで本研究では、ASDの潜在的なリスク因子であるSetd5の遺伝子改変マウスを用いて、微小粒子曝露とSetd5 +/- の複合的影響について調査した。Setd5 +/- の雄マウスと交配したC57BL/6N雌マウスの妊娠5、9日目に環境中微小粒子のモデルとして用いられるカーボンブラックナノ粒子 (CB, 14 nm) を95 μg/kgで経気道投与した。出生後、野生型とSetd5 +/- の遺伝子判定を行い、11週齢時に雌雄別で行動解析を行った。Open field内に同遺伝子型・同性のマウスを2個体入れ、マウス間の接触時間を計測した結果、Setd5 +/- -CB曝露群の雄マウスで特に、1回あたりの接触持続時間が減少した。これは、ASD様行動の一種である社会性の低下を示唆している。さらに、Three-Chamber testの結果、雄に関して、Setd5 +/- とCB曝露が重複した群で唯一、認知マウス周囲での滞在時間が新規マウス周囲での滞在時間より長く、ASDの主症状の一つである「認知済みのものに対する強い固執性」が認められた。さらに、この行動解析について個体別で評価した結果、CB曝露やSetd5 +/- 、それぞれ単独ではASD様行動を示す個体の数が少なかったが、両者が重複することで、ASD様行動を示す個体が有意に増加することが明らかになった。これらの結果は、現実社会における微小粒子の脳発達への影響を調査するうえで、遺伝子多型を考慮した研究デザインを組むことの重要性を示すものである。