最近ではAI, CNN, 深層学習, 不良品検出, 欠陥検出, 製品検査,異常検知などのキーワードをもとに文献検索を行えば,工業製品や材料などを対象とした多くの関連研究や開発システムを確認できる.本発表では,学内にけるデータサイエンス教育における学生のニューラルネットワーク関連の応用的実務能力の向上と,欠陥検出や異常検知のためのAIモデルの実装技術を必要とする企業との共同研究を実施する上での基本ツールとして活用するために,これまでMathWorks (https://jp.mathworks.com/) から紹介されているMATLAB上で作成可能な様々なニューラルネットワークモデルを簡易操作で統合的に設計,訓練,評価できるアプリケーションを開発してきたので紹介する.ボタン操作で簡単に構築できるようにしてきたモデルは,アプリ内への実装順に以下のとおりである.
① 従来の残層ニューラルネットワーク(NN)とRNN
② 異常検知に利用できる残層オートエンコーダ(AE)
③ ゼロベースから畳み込み層などを配置しながら設計するオリジナルのCNN
④ AlexNetやVGG19など公開されているCNNの転移学習により設計するCNN
⑤ CNNを特徴抽出器として構成する1クラス学習あるいは2クラス学習によるSVM
⑥ 動画内の特徴抽出のための3D CNN
⑦ 異常検知に特化したFCDD, FastFlow, PatchCore
⑧ セマンティックセグメンテーションネットワークのSegNetとU-Net
⑨ CAEを用いた異常検知とその可視化
⑩ 動画内のオブジェクト検出のためのYOLOv2, YOLOv3, YOLOv4, YOLOX ⑪ 時系列データを学習できる1D CNN ⑫ 画像拡張と異常検知のためのVAE
⑬ 時系列データの学習処理のためのLSTM, GRU
⑭ 欠陥検出と類似特徴検出のための学習レス型データセットモデル
[1] 永田,渡辺,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)・畳み込みオートエンコーダ(CAE)・サポートベクタマシン(SVM)のための設計支援ツールの開発,画像ラボ, Vol. 32, No. 12, pp. 20-26, 2021.
[2] 永田,阿部,有馬ら,Grad-CAMによる工業材料の欠陥領域の可視化性能を向上させる画像拡張法とCNNによる分類時のスコアの影響,画像ラボ, Vol. 34, No. 5, pp. 1-8, 2023.
[3] 永田,阿部,松井ら,CNNモデル実装用ステートメントの記述が可能なHCLSデータの提案と小型産業用ロボットの機能高度化ニーズへの対応,画像ラボ, Vol. 35, No. 7, pp. 8-14, 2024.
[4] 永田,八木,渡辺,工業材料製造時に発生するクラック検出のためのFCNモデルとYOLOモデルの適用実験,画像ラボ, Vol. 35, No. 5, pp. 1-7, 2024.
[5] 坂田,永田,渡辺ら,転移学習ベースのCNNモデルとFCDDモデルによる異常検知と可視化性能の比較,第26回IEEE広島支部学生シンポジウム(HISS26th)論文集,pp. 109-112, 11/16 - 17, 広島市立大学, 2024.
[6] 坂田,永田,阿部ら,Python 上で動作するピックアンドプレースロボットのためのONNX Runtimeモデルを用いた欠陥検出機能,第30回画像センシングシンポジウム(SSII2024),IS1-09, 4 pages, 6/12 - 14, パシフィコ横浜 アネックスホール, 2024.
[7] 坂田, 永田, 中村ら,FCDDモデルを用いた欠陥検出とコンカレントな可視化,日本非破壊検査協会2024年度製造工程検査部門ミニシンポジウム講演会論文集,6ページ,徳島大学,3月27日(木), 2025.