研究者基本情報

• 石川　敏弘 イシカワ　トシヒロ ISHIKAWA Toshihiro

主な研究課題

• 【豊富な資源を主成分とする高機能材料の開発】
  石川研究室で扱う材料系は、地球上に最も豊富な元素（ケイ素、マグネシウム等）を主成分とするセラミックス材料（炭化ケイ素、シリカ、マグネシア等々）で、その優れた機能（高強度、高耐熱性、耐酸化性、高熱伝導、触媒機能等々）の発現メカニズムや機能を支配する因子を詳しく調べています。目指すは「世界一の特性」です。例えばセラミックス材料の強度を例に取ると、材料中に存在する欠陥が破壊の起点となることから"欠陥"が強度を支配しており、強度は欠陥サイズの2分の一乗に反比例します。つまり、高強度を発現させる為には欠陥サイズを限りなく小さくする必要があり、最終的には原子レベルまで制御する必要が出てきます。石川研究室では、そのような過程を企業研究者とともに詳細に調べ、材料合成の過程に起こる構造変化や微細組織の生成メカニズム等々、論理的な解析をおこなっています。更に、セラミックス粉体の新しい焼結プロセスの開発や、耐食性の高いチタン金属を用いた光触媒材料の開発とその浄水技術に関する研究、新しいセラミックス粉末の合成法等々、多岐に渡った研究を実施しています。
• 【研究室の環境】
  石川研究室には、2000℃まで1分程度で昇温でき、昇温パターンも20段階までプログラム可能な高性能な雰囲気高温炉、2000℃まで加圧あるいは減圧状態でも加熱処理できる高性能プログラム雰囲気炉、微小な繊維等の形態観察や形状測定が可能な実体顕微鏡、直径数ミクロンの微小繊維を測定台紙に貼り付ける為の作業ボックス、微小繊維の強度測定を行う為の単繊維引張試験装置、並びに高温大気炉など、主にセラミックス繊維の製造プロセスの検討や特性評価が行える設備を設置しております。また、それらの微細構造に関しては外部機関の設備等も活用して詳細に調べております。設備環境等に関しては、今後も継続的に充実させてゆきます。
• 【研究の方向性】
  石川研究室で主に扱う材料系は、地球上で2番目に多く存在するケイ素を主成分とする炭化ケイ素で、その優れた機能（高強度、高耐熱性、耐酸化性、高熱伝導等々）の発現メカニズムや機能を支配する因子を詳しく調べてゆきます。目指すは「世界一の特性」です。その中でも特に、自らが発明者である結晶質炭化ケイ素繊維中に内在する微細欠陥と強度の関係を詳細に調べて、より高強度化を目指す為の研究を宇部興産㈱と共同で進めています。具体的には、(1)炭化ケイ素繊維の破壊起点の特定、(2)炭化ケイ素繊維の強度を支配する欠陥の同定、(3)炭化ケイ素繊維の欠陥生成に最も大きな影響を及ぼす熱処理過程の制御等々です。最終的には原子レベルまで制御する必要が出てくるのです。石川研究室では、そのような過程を企業や国立研究所の研究者とともに詳細に調べ、材料合成の過程に起こる構造変化や微細組織の生成メカニズム等々、論理的な解析をおこなってゆきます。更に本研究室では、これまで結晶質炭化ケイ素繊維の合成過程に、直径約10ミクロンの一本一本の繊維内部で起こさせてきた現象を、炭化ケイ素粉体の粒界相で効果的に進行させることにより、高強度で高耐熱性を有する炭化ケイ素焼結体を常圧で合成できる革新的常圧焼結プロセスについても研究しています。これにより、従来のホットプレス等の加圧焼結法、反応焼結法、スパークプラズマ焼結法のような「比較的高価で大型の装置、あるいは加圧を必要とする装置を用いない限り、緻密な炭化ケイ素焼結体は得られないのか？」と言った「問い」に応えられる学術的価値の高い手法（難焼結性セラミックス材料の新しい常圧固相焼結法）を確立してゆきます。以上、セラミックス材料の強度ならびに新しい焼結法を研究例として取り上げましたが、他の新しい機能創生（新しい光触媒材料や蛍光材料等々）に関する研究も実施しております。多くの機能は、微小領域の構造に支配されることが多いことから“微小領域の制御”をキーワードとして「世界一の特性」発現に向けた研究を今後も進めて参ります。

所属

• 山口東京理科大学 工学部医薬工学科 教授

研究分野

• 光触媒材料 Photocatalytic materials
• 前駆体セラミックス材料 Precursor Ceramics

研究経歴

• 1983 ～ 1996 宇部興産株式会社にて炭化ケイ素繊維の開発研究に従事
• 1997 ～ 2007 宇部興産株式会社・研究開発本部・無機機能材料研究部長
• 2007 ～ 2015 宇部興産株式会社・フェロー
• 2015 ～　現在 山口東京理科大学　教授

研究職歴

• 1992 ～ 2006 山口大学工学部及び大学院工学研究科の非常勤講師兼任
• 1997 ～ 1998 岡山大学工学部の非常勤講師兼任
• 1997 ～ 1999 山口大学 客員教授兼任
• 1998 ～ 1999 広島大学 客員教授兼任
• 2007 ～ 2015 東京工業大学ほか多数の非常勤講師兼任

委員歴／役員歴

• 2009 ～　現在 日本ファインセラミックス協会 表彰選考委員会 委員長
• 2011 ～ 2013 日本セラミックス協会 代表理事・副会長
• 2015 ～ 2018 World Academy of Ceramics Advisory Board Member
• 2015 ～ 2020 American Ceramic Society Chair of Purdy Award Committee
• 2019 ～ 2026 UBE学術振興財団 評議員

学位

• 大阪府立大学 Osaka Prefecture University 複合材料・物性 Composite materials/physical properties 工学博士 PhD

出身大学

• 大阪市立大学 Osaka City University 工学部 Faculty of Engineering 応用化学科 Applied Chemistry 大学 卒業
• 大阪市立大学 Osaka City University 工学研究科 Graduate School, Division of Engineering 応用化学専攻 Applied Chemistry 修士課程 修了

著作(論文等)

• 炭化ケイ素繊維の微細構造制御 技術情報協会誌 2024/04 1 9 317 ～ 328
• 炭化ケイ素繊維の焼結プロセスと微細構造制御 耐火物技術協会誌 2024/01 76 1 2 ～ 10
• Application of h-BN particles using Ca-assisted carbothermal reduction nitridation to high-thermal-conductive resin/h-BN composites International Journal of Applied Ceramic Technology 2023/04 20 2603 ～ 2609
• Characterization of spherical silica-titania mixed oxide particles synthesized by using a dry process International Journal of Applied Ceramic Technology 2023/04 20 1388 ～ 1397
• Easy formation process of anatase-TiO₂ coating layer strongly bonded to titanium metal surface International Journal of Applied Ceramic Technology 2023/04 20 1010 ～ 1016

著書

• Ceramic Fibers and Their Applications Pan Stanford Publishing Pte Ltd 2019/10
• “第10節　SiC系繊維の高強度化”（粉体の表面処理・複合化技術集大成―基礎から応用まで―） テクノシステム 2018/07/18
• Advanced Polymer Science Vol.178 (Advances in Inorganic Fibers) Springer-Verlag Berlin Heidelberg 2005/01
• 高機能な酸化チタン光触媒～環境浄化・材料開発から規格化・標準化まで (高強度で高効率な酸化チタン光触媒繊維の開発とその用途展開) ㈱エヌ・ティー・エス 2004/01
• Nanotechnology (New process for the production of the nano-sized surface sintered structure) KOGYO CHOSAKAI PUBLISHING CO., LTD. 2002/01

学会発表

• High Performance SiC Polycrystalline Fibers 口頭発表（招待・特別） The 2024 Global Research Conference on Aerospace, Aeronautical Engineering, and Applications 2024/12/09 ～ 2024/12/11
• Polymer-derived Silicon Carbide Fibers 口頭発表（招待・特別） The 3rd International Conference on Polymer Science and Engineering 2024/10/21 ～ 2024/10/23
• 炭化ケイ素繊維の基礎とその応用 口頭発表（基調） R&D支援センターWebセミナー 2024/10/02
• High Performance SiC Fibers 口頭発表（招待・特別） International Meeting on Materials Science and Nanotechnology 2024/07/18 ～ 2024/07/20
• High-Performance SiC Polycrystalline Fiber with Smooth Surface 口頭発表（招待・特別） The 10th Analytix 2024 2024/04/22 ～ 2024/04/24

その他業績

•  

特許

•  

受賞歴

• Bridge Building Award 2020/01/27
• AcerS Global Ambassador Award 2019/01/27
• Academician of World Academy of Ceramic (Advisory Board Member) 2009/09
• Fellow of American Ceramic Society 2006/09
• GSC賞・環境大臣賞 2004/03

学会活動

• American Ceramic Society Chair of Purdy Award Committee 2015/01 ～　現在
• American Ceramic Society Chair of the Ross Coffin Purdy Award Commitee 2015/01 ～ 2020/01
• World Academy of Ceramics Advisory Board Member 2014/06/01 ～ 2018/05/31
• 日本セラミックス協会 協会副会長 2011/06 ～ 2013/05
• World Academy of Ceramics Editor of Ceramic International 2009/10 ～　現在

客員教授

• 東京理科大学 2018/04 ～ 2024/03/31
• 長岡技術科学大学極限エネルギー密度工学研究センター 2010/04/01 ～ 2016/03/31

researchmap研究分野

• 構造・機能材料 Structural/functional materials 炭化ケイ素繊維、光触媒繊維 SiC Fiber, Photocatalytic Fiber

共同研究テーマ

•  

学識経験

• 2024 山口県（商工労働部新産業振興課） やまぐち産業イノベーション推進補助金　カタパルト審査委員会委員
• 2023 公益財団法人　特殊無機材料研究所 評議員
• 2022 UBE学術振興財団 評議員
• 2022 山口大学 規範委員会委員（外部委員）
• 2021 大学リーグやまぐち 地域貢献部会委員

シーズ集URL

• http://www.tusy.ac.jp/uploads/images/tusy_profile_31.pdf